信号検出理論の基礎
岡本安晴（訳）
電子書籍（Yahooショッピングでダウンロード可2022.04.29）
本書は、T. D. Wickens (2002) Elementary Signal Detection Theory. Oxford University Press, Inc. を訳したものである。信号検出理論の解説書としては、M. J. Hautus, N. A. Macmillan, & C. D. Creelman (2022) Detection Theory, : A user’s guide, third edition. Routledge があるが、Hautusらの解説書では、言葉による説明が主で、議論の背景にあるモデル（等分散ガウス型モデル）との関係が隠されており、理論的な解釈が不明確と思われる。これに対してWickensの説明は、明確に設定されたモデルに基づいている。Hautusらは、detection theory（彼らは用語signal detection theoryからsignalを除くことを提案している）はsensitivityとcriterion/biasを区別するものであると説明している。しかし、この区別はモデルを設定して可能となるものであり、説明の基礎となるモデルを明示せず言葉による説明で議論を進めることは危険である。
なお、信号検出理論は＜岡本安晴「心理学データ分析と測定」勁草書房＞の第12章「感覚と判断：信号検出理論」においても説明している。